公益社団法人岩手県猟友会

よもやま話

ニホンジカの農作物の被害について

遠野猟友会会長 佐々木清美

 昭和50年9月に猟銃所持許可証交付、その年の11月15日に初猟し、現在43年目を迎えるところであります。

 その間に色々な出来事が有りました。それは、裏山でのことでした。父親の猟犬(ベル)を連れて行き、すでに前でポイントしていました。足場を固め山鳥が飛び立つ1発目で当てると、その時である、ベルの取った行動に思わず目を疑う。山鳥を咥え目の前の繁みに隠し、そして涼しい顔をして戻って来ました。ベルになめられた、首輪をつかみ繁みに隠した山鳥に鼻を擦り付けて叱る、その後は二度としなくなりました。

 当時は、キジ、山鳥が豊富にいて、散弾(25発)を使い切り、山鳥1羽のみで帰路に着く。(笑)今はキジ、山鳥も少なく猟期間中に1羽か2羽程度である。シカ猟は、大船渡市へ、車で猟友仲間(釜石、一関、盛岡)と地元のハンターの案内で、巻狩り、最初のころはシカが勢子の横を戻られ、立にはかからない事しばし。

 ある日、山を移動中、前を歩く仲間の目の前に雄シカ(戸板ぐらい)が横切り斜面を駆け上がる、私は撃て!と叫ぶ、前を行く仲間は猟銃に1発込め発射(距離約10メートル)、倒れない、あれ?おかしいな・・・・・火薬莢をよく見ると7½ではないか!これではシカは「イテ」と思って走り去ってしまった。(笑)

 昭和61年9月にライフル銃を所持(ウインチェスターレバーアクション)、その後ホーワ(ボルト30-06)、ブルーノ(ボルト30-06)、ホーワ(30カービン)、今はカールダフタス(300マグナム)と散弾銃(水平二)、空気銃を所持して猟銃を楽しんでいます。

 今、遠野市では、野生鳥獣被害が甚大でニホンジカによる農作物の被害状況(平成25年度)は1億5,900万円で、全体の98%を占め、飼料作物、水稲被害が多く、果樹・野菜についても被害の拡大が見られています。

 私も平成28年にわな免許を取り、ニホンジカ捕獲をニホンジカ捕獲応援隊の協力の下、捕獲をしております。平成29年の遠野市内の有害捕獲数は1,264頭、うちわな847頭、応援隊115頭で、わなの割合が67%になっております。

 ニホンジカ捕獲応援隊の設置の背景は第11次鳥獣保護事業計画(平成25年3月)によって新たに規定された「狩猟免許を所持しない者が補助者として捕獲に従事できる」をもとに新たに設置したものであります。

制度の概要は、市が主催する安全講習会を受講することで狩猟免許所持者の捕獲活動一部を補助することが可能となり、遠野市鳥獣被害対策実施隊の隊員がニホンジカの捕獲を目的に設置しました。

 わなの管理及び見回りに関すること、活動範囲は応援隊員が所有又は管理する農地内とする。任期は遠野市鳥獣被害対策実施隊と同じ任期3年であります。鳥獣被害対策実施隊員数は平成28年で79人、ニホンジカ捕獲応援隊登録者数は125人で行っております。

 人材育成は、猟銃・ロッカー取得補助。猟銃所持許可更新補助など市が補助をし人材育成をしており、私の地元の農家2名、会社員1名が猟友会に加入しました、喜ばしいことであります。若い方々の加入に心強いものがあり期待するものであります。一方、事故には細心の注意をして狩猟を楽しんで頂きたいものです。

 私は現在岩手県鳥獣保護管理員、狩猟安全指導委員、そして平成30年からは遠野猟友会々長として、猟の楽しさ、マナーアップの向上を目指し努力していく所存であります。

 そして、三陸沿岸地震による福島原発事故によります放射性物質による被害によりシカ肉の用途が閉ざされ、捕獲したシカは埋設焼却をしなければならない。一日でも早くシカ肉が活用できる施設を望むものであります。

 結びに岩手県猟友会各位のご多幸と、ご健勝を記念し結びと致します。